新飯能1653
人間ドッグ・保養所利用助成
来年度予算化に前向き
2006年の国会で可決(日本共産党だけが反対)した12本にのぼる「医療改革関連法」は、後期高齢者医療制度や特定検診制度の創設など、医療費の抑制をめざすものでした。公明党が与党に入ってから、悪法を多数をもって強行することと、その悪法の実施を2年後に遅らせて、国民が気がついたときはもう手遅れという状況をつくってきたのも特徴的でした。
今年4月、大きな国民的な批判の中で見切り発車した「後期高齢者医療制度」は、この制度自体の中止・廃止にむかって大きなうねりとなって広がっています。参議院では、4野党提出の廃止法案がすでに可決していて、現在、衆議院で同様の法案が審議入りしているところです。与党が小手先の手直しをしてみても、まさに、自民党・公明党の政治体制全体をゆるがす闘いとなっているのです。 同時に、いろいろな矛盾がふきだしています。
人間ドックと保養所利用が出来なくなる高齢者
その一つが、今まで国保に加入していた人が、後期高齢者医療に移ったことで、国保の保健事業である人間ドッグについて、36750円の費用のうち、13000円自己負担23750円を助成する事業と、保養所利用について大人一人一泊2000円の助成が受けられなくなりました。こうした保健事業は、75才以上の人が加入する埼玉広域連合で検討することになっていましたが、20年、21年の2年間は実施しないこととしたために、75才以上の人が宙に浮いてしまったものです。
「前向きに検討する」と答弁
そこで、金子市議は、6月議会、9月議会と「当面今まで通り市が独自で二つの事業を実施すべきだ」と求めてきました。すでに、近隣市(所沢市、狭山市、入間市、日高市)はすべて4月にさかのぼって実施するとしており、費用も19年度の実績からみて、約250万円程でできると求めていました。
12月議会の金子市議の一般質問で、健康推進部長は「こうした問題は、医療制度の改正によって生じたひずみであると感じている。新年度予算編成もきびしい折りだが、今まで国のためにご苦労されてきた方々ということもある。広域連合が実施するまでの間、何とかできないかということで前向きに検討していきたい」と答弁し、実施する方向であることを表明しました。
75歳以上「無保険」の恐れ
飯能市でも60人にも
今年4月に始まった後期高齢者医療制度では、保険料を一年以上滞納した高齢者から保険証を取りあげるしくみが導入されました。
12月議会の議案質疑の中で、飯能市の収納率状況が明らかにされました。年金天引きされている高齢者は5783人、普通徴収(納付書で保険料を納める人)は1259人で、合わせて7042人ですが、7~10月までの収納率は下表の通りで、督促状などがあっても納めていない人が5%程度であることから、約60人が保険料を滞納していることになります。
健康推進部長は、「保険料を納められない高齢者との接触を強めていきたい」と答えていますが、このまま推移すると病院に行くことが多い高齢者が「無保険」になる恐れがあります。
後期高齢者医療制度ができるまでは、滞納していても75歳以上の高齢者から保険証を取りあげることは法律で禁止していました。しかし、この制度によって、法律によって保険証の取り上げが可能となったのです。
保険証が取りあげられた高齢者には資格証明書が発行されますが、医療機関窓口で医療費の全額を支払はなければならないため、お金がなければ受診はできません。病気になりがちな高齢者を医療から排除するものです。
病棟が閉鎖にならないよう
医師確保に全力を
新井たくみ市議の一般質問
新井市議は、市立病院問題、丸広移転問題、山間地振興などについて質問しました。
新井 自治医大からの医師派遣が今年度末で終了となると、3月末までに、医師確保ができなければ、病棟閉鎖も心配される。医師の処遇改善も含めて対応していく必要がある。また、埼玉医大には、もちろんお願いするとともに、公募、それからこれまで付き合いのあった病院、医師、あらゆるつながり、市、市民・地域住民総掛かりで医師確保にあたることが必要なのではないか。医師確保にしても、指定管理者の折衝にしても、市長が自らが強力に働きかけなければ実現できないのではないか。
福祉部調整監 県からの医師派遣がなくなるので、埼玉医大に強くお願いし、前向きな回答を頂いている。医師確保については、公募も引き続き行うとともに、勤務する医師等のネットワークや人づてに情報をいただくことが影響が大きい。
市長 相手があることで、なかなか希望どおりにいっていないのが現実。私も一生懸命やっていきたい。
早期に地元説明会を
新井 7月28日の吾野、東吾野の自治会長との懇談会で、一定の時期に経過を報告すると約束した。計画を作成する前に住民説明会を行うべきではないか。
調整監 来年2月の議員全員協議会には改革プランを示したい。その後、住民には説明する機会をもちたい。
「足の確保」の課題は横断的なプロジェクトで
新井 マスタープラン案策定にあたっては住民の「足の確保」について、「各地区の会議で、住民の足に対する御意見が多く出されたので、将来に向けての課題として位置づける案として掲載した」としている。地域福祉懇談会でも、「足の確保」についても多かった。これまでも、何度も実態調査をして同様の結果だったわけだから、来年度に各部横断的なプロジェクトチームでデマンド交通システムなどの事例を研究し、具体化してもらいたい。
総合政策部長 重要な課題ではあるが今のところ考えていない。
景気悪化から暮らしと
営業を守る積極的支援策を
金子としえ市議の一般質問
金子 原油高騰や株価の暴落、消費不況と市民生活は大変だ。何とか年の瀬を乗り切ってほしいと市が実施した「緊急融資」を、新年度は預託金も増額して継続すべきと思うが。
市民生活部長 貸し付け限度額1000万円を1250万円に引き上げ、利率1・75%を1・5%に引き下げ、審査会を廃止し迅速に対応することとした。期間は11月~来年3月までの5ヶ月間の緊急措置としたが、11月だけで10件の申し込みがあり好評である。新年度については状況をみて検討していきたい。
返済期間の延長を
金子 特別小口融資の「無担保・無保証人融資制度」について貸付期間の延長をはかっていただきたい。中小事業主の方には、資金繰りの命綱となっている。仕事量も減り、下請け単価をたたかれ苦しい状況だ。返済期間を延長して、一回あたりの返済額を減額できたらありがたいが。
市民生活部長 市も緊急経済対策の第2弾として、少しでも返済額を少なくするために貸付期間を延長していく考えである。現在の運転資金7年を10年とか、設備資金10年を12年とかというように可能なかぎり延長できればと考えている。
住宅リフォーム助成制度の創設で仕事確保を
金子 次に市内業者の仕事確保の問題として、リフォーム需要を喚起するために、これまで何度も提案してきた「住宅リフォーム助成制度」をたちあげてほしい。県内22自治体で実施して、工事費にかかる消費税5%分(10万円が上限)を助成するもの。その経済波及効果は実証ずみである。こういう時こそ必要な制度だ。
市民生活部長 この制度については、研究・検討させていただきたい。しかし、「飯能市勤労者住宅資金の貸付」について、現在1000万円の上限を1500万円へと検討しているところ。さらに300万円までの「住宅リフォーム」のための融資も実施してゆきたいと考えている。
金子市議は、「住宅リフォーム」のための融資を立ち上げることは大いに結構だが、「住宅リフォーム助成制度」とセットで動けば大きな効果が得られると力説しました。
波紋(コラム)
啄木に「ココアのひと匙」という詩があります。最初に読んだのは高校生のときでした。ココアを飲んでいると、ふっとそのフレーズが浮かんできます。/はてしなき議論の後の/冷めたるココアのひと匙を啜りて、/そのうすにがき舌触りに、/われは知る、テロリストの/かなしき、かなしき心を。/1911年の作品です。「大逆事件」への怒りと、閉塞した時代への焦燥が感じられる詩です▼「はたらけど/はたらけど猶わが生活楽にならざり/とも歌った啄木が今の時代に生きていたらと思います。百年後の日本で、若者をはじめ非正規の労働者が職も住も奪われ路上に放り出されようといています。大企業の横暴勝手がまかりとおっています。なぜ政府はそれをやめさせようとしないのか、怒りが湧いてきます▼啄木はまた「平手もて/吹雪にぬれし顔を拭く/友共産を主義とせりけり/という短歌も残しています。啄木の時代にはまだ日本共産党はありませんでした。しかし今は違います。党と労働者の連帯の力が政治を大きく動かそうとしているのを感じます。