1691号
22年度下水道料金を引き上げたい
公明党 佐野議員の質問に答える
9月市議会の一般質問は12名が行い、それぞれ、市民要求や市民生活の中から市長、執行部の見解を質しました。異例なのは、日本共産党以外のほとんどの議員が「市長選当選おめでとうございます」と祝意を述べてから質問に入るのです。石井議員(民主党)は冒頭、「私は市民党として市長を応援させて頂く」と与党宣言とも受け取れる挨拶から質問。公明党の佐野議員には、沢辺市長が「いろいろお世話になりました」とお礼を述べてから答弁にはいるという丁寧な対応でした。
過大投資は不問で
佐野議員は、下水道事業についての質問を行い、今後市が進めようとしている区画整理地内の下水道整備、下水道施設の老朽化による再構築事業、合流改善事業などに多額の事業費がかかること、下水道の地方債残高が102億円にもなることなどを質し、「一般会計からの繰り出しは不公平」「今後の下水道財源をどうするのか」と質問。この質問に対して、建設部参事(下水道課長)は「22年度の下水道料金の改定を目標に下水道審議会で検討をお願いしたい」と答弁しました。
12万人都市計画に基づく過大投資の責任は不問のまま、市民に負担を押し付けられたのではたまりません。
市民生活がこんなに大変なときに
佐野議員は、前段では市内企業や市民生活が厳しい実態を明らかにしながらの質問ですから、こういう最悪の時期に料金値上げを迫るような姿勢は理解できません。
佐野議員は、これまでも、市立病院の「改革」や、まるひろ東飯能店にギャラリーを提案するなど、行政の呼び水としての役割を果たしてきましたが、市民の目線とはちょっと違うようです。
市長選挙の総括会議
「みんなの会」代表者会議開く
「市政を変える みんなの会」は16日、代表者会議を開催し、市長選挙の総括を行い、今後の活動について話し合いました。
それぞれの構成団体から、「要求を持ち寄り、政策を作ってきた。今回の市長選挙自らの選挙としてがんばれて楽しかった」「もっと票が伸びるのではないかという手応えがあったが残念だ」などの感想が出され、候補者として奮闘した杉田実さんから、「記者発表から一ヶ月というわずかな期間だったが、みなさんに支えられてがんばれた。この4年間、公約実現と市政の監視役として奮闘したい」と語りました。
みんなの会は11月28日に、総会と学習会を計画し、活動方針、体制などを確認することにしています。
医療サービス明確でないのに
指定管理導入には無理がある
新井たくみ市議の一般質問
新井 私が8月末に実施した住民アンケート(吾野・東吾野の1600世帯に新聞折り込み)は、162通の返信があった。病院改革案を知っているという人が78%。医師確保や経営改善について、市の努力不足だという人が9割だ。計画案を評価できるまたはある程度評価できるという人は、合わせても14・8%。19床でも民営化しない方がいいという人が32・1%、50床で直営と言う人が59・2%、合わせて91・3%にもなる。
このような中で、9月議会で市立病院を廃止して、指定管理者制度導入を決めるには無理がある。職員組合とも合意していないし、非常勤職員、委託業者や調剤薬局など関連するところに正式に話すらしていない。住民にも2回の説明会だけで説明責任を果たしたと考えているのか。
市長 長い間の論議があって今日に至ったもので、早く行うことが必要だ。
医療内容を市としてどのように考えているか明確に
●糖尿病など専門外来が今まで通りやれるのか●送迎については、通所リハビリだけでなく一般患者の送迎が必要だ。市としてやる気があるのか●診療所と老健で医師・看護師は兼務、そして常勤換算だから、職員配置はまだ分からないというが、最低どの程度必要と考えているのか●民間になると患者負担が高くなるのではないかという不安がある。入院保証金も一般病院では、5~7万円だ。どのようになるか●一次救急、往診などを行うかどうかなど明確にする責任があるのではないかと質しました。
健康推進部長は、「協議中であり、ここでは申し上げられない」などと答弁しました。
新井市議は、「靖和病院にお任せではなく、必要な医療サービスを責任をもって提供する姿勢が必要だ」と強調しました。
まるひろ問題
ムリヤリ借りる必要はない
新井市議は、「丸広東飯能店のフロアを借り上げ、ギャラリーとか障害者の喫茶店とか、団体の活動拠点などを考えているとしているが、ギャラリーは新図書館に展示スペースが位置づけられている。障害者の喫茶店などは市民会館の喫茶店利用など要望があり、まじめに要望に応える姿勢があるならこうしたところが利用できるではないか。市民要求を人質にして必要ないのに多額の税金を使ってムリヤリ借りる必要はない」と質しました。
市長は、「テナント料はなるべく安く交渉している。ギャラリーなどは市民文化の向上として市民が熱望しているものだ」などと答弁しました。
医療費の支払い
困難な人に減免制度の周知を
金子としえ市議の一般質問
金子 市民生活が厳しいなか、国民健康保険法第44条では、病気、災害、失業など急激な収入の落ち込みで医療費の支払いが困難な場合には、医療費の3割自己負担分について減免、徴収猶予することができるとしている。飯能市は申請件数が少なく、制度周知が全く不十分である。今年7月、厚生労働省は医療機関の未収金問題の未然防止のために回収だけでなく、一部負担金減免などの活用を訴えていて窓口での患者負担の軽減をすすめるものとして重要である。
さらに埼玉県では、国保の医療費一部負担金の減免を行った市町村に対して、費用の4分の3を補助するという「低所得者等医療対策費補助金制度」があるのだから積極的に取り組んでほしい。
健康推進部長 減免申請を受けて、認めるかどうか実態調査をおこなって総合的に判断している。周知については、お知らせ方法を考えていきたい。
ジェネリック医薬品の促進・普及を
金子 国は医療費削減と加入者の負担軽減の一つとしてジェネリック医薬品を推進している。広島県呉市では、昨年7月からジェネリック医薬品の促進通知サービス(慢性疾患で継続的に服薬している被保険者に対して新薬から後発品、ジェネリック医薬品に切り替えた場合の差額を通知するもの)を本格実施し、この通知をもらった方の半分以上の方が、次回からはジェネリックを利用したいと答えているとのこと。飯能市もこのサービスを検討したらどうか。積極的な取り組みを求める。
健康推進部長 新薬の二分の一ですむのでぜひ利用してほしい。今回、国保税納付書にリーフレットを同封して呼びかけていく。
5地域への県水90対10が65対35に
金子 今年3月、県水が全市的にブレンドされているのではなく下畑、岩淵、阿須、落合、征矢町の5地域に限定して給水され、しかも県水が90%以上となっていてまずい、飯能のおいしいお水を飲ませてと住民の不満が広がった。その後水道部に申し入れをおこない、水道部では、ブレンド率の改善のために迅速に対応してきたところだが、今現在の改善の状況とどこまで改善が可能なのかどうか伺いたい。
水道部長 6月議会後、本郷浄水場の電気・機械設備の状況等検討して、8月上旬から県水が65%、市水が35%として運転している。さらに改善はとの事だが、本郷浄水場の機械の老朽化を考えるとこれが限界。また、今年度予定している本郷浄水場の休止計画(委託)のなかで、さらに小岩井浄水場の水の増量が可能かどうか研究して課題としていきたい。
波紋(コラム)
「日本文学史序説」で加藤周一は、山上憶良について「憶良は、同時代の他の歌人が歌わなかった題材を詠った」としてその第一に「子供または妻子への愛着」をあげ、このような歌人は十九世紀末まで出なかったといっています▼〈憶良らは今は罷らむ子泣くらむそを負ふ母も吾を待つらむそ〉。この「宴を罷(まか)る歌」についても加藤は、「その後の日本の男は、こういう歌をつくらなかったばかりでなく、徳川時代以後には、そういって宴会から退出することを恥とする習慣をつくりあげた」と指摘しています▼時代を経て、新政権の誕生で新しい歴史の始まりです。高校授業料の無償化、大学学費軽減、生活保護の母子加算の復活など、これまで日の当たらなかった子どもや女性への手厚い援護の実現が期待されています。〈しろがねもくがねも玉も何せむにまされる宝子にしかめやも〉という歌を残しているのも憶良です。