新飯能1603
市長3役、議員の一時金
引き上げ条例案を否決
飯能市12月定例議会に、市長、副市長、教育長の三役と市議会議員の期末手当(一時金)を年額4・4ヶ月(491万400円)から4・5ヶ月(502万2000円)に引き上げる条例案が、提案されました。
議案は民間企業の業績が上向きとの判断から、人事院勧告により職員給与の改善と合わせて提案されたものです。
財政難と言いながら高い市長給与
議案審査が行なわれた総務委員会で、滝沢修市議は「市の市長給与は93万円で、県内8番目の水準にある。入間市市長は93万1000円となっているが、特例を設け15%の減額を行なっており、市民に財政が厳しいと言っている中で給与そのものも見直す必要がある。ここでさらに期末手当を上げるべきではない」と指摘しました。他の委員からも、名栗幼稚園の授業料を来年度より5500円から一気に9000円に引き上げることや、後期高齢者医療制度により、現役世代も高齢者も負担が増え、市民負担が大変になる中で、市長や議員の報酬を上げることは市民感情からしても適当でないとの意見が多く出されました。
執行部からは、県内企業356社の調査の結果は年間4・49ヶ月となっている状況もあり、今回、議案の上程を行なったとの報告がされましたが、
飯能市内の企業の状況は平均とは言えないのではないかなどの質疑が相次ぎました。
議案の採決にあたり、市長をはじめ三役の報酬は議会ではなく自ら決めることであり、議員部分だけを削除して可決をするか、継続審査にしてはとの意見も出されましたが、滝沢市議は「調査事項がある訳でなく、継続して審査をする必要はない」と指摘、他の委員からも採決をすべきとの意見で採決の結果、全会一致で否決、本会議でも否決されました。
さわらびの湯 指定管理者の指定が
常任委員会で継続審査に
旧名栗村の有間ダム下にある日帰り入浴施設「さわらびの湯」を直営から大手民間業者に運営管理させるための議案が経済建設委員会で継続審査になりました。
この施設は、旧名栗村が4億円超を投じて建設した施設で、合併前から保有していた約6000万円の基金のうち、4000万円をかけて改修工事も行っています。
地元の観光協会名栗支部や林業関係者などでつくる団体が、地域活性化のためにと応募しましたが、選定から外れました。
常任委員会の審査で、新井巧市議は、「地方自治法には、公の施設の設置目的を効果的に達成するために必要があると認めるときは、指定管理者に管理を行わせることができるとなっている。公の施設の運営が金儲け主義になったり、サービス低下になったという例も各地で聞かれる。自治体によっては、計画以上にコスト削減や増収があがった利益を自治体に返納させるような例もあるが、これでは制度の意図に反する。それぞれの自治体に裁量権が十分保障されているのに審査項目や配点など、資金力のある大手業者に有利になっているのではないか」と指摘しました。
多くの委員から、疑問が出され、審査が不十分と言うことで、12月議会閉会後に引き続き、審査をすることになりました。
子ども医療費無料化
年齢拡大の請願採択に
新日本婦人の会飯能支部(本多芙美枝支部長)から提出されていた「子ども医療費無料化の対象年齢を小学校卒業までに引き上げを求める請願」が採択されました。
紹介議員の滝沢修市議は、「若い子育て世帯は、経済的に余裕がない中で必死に子育てをしている。現在、小学校入学前まで無料化になり大変助かっているが、狭山市など多くの自治体で対象年齢が拡大されている。飯能市としても年齢を引き上げて子育て支援することが必要」と説明しました。
質疑の中では、県内の状況について、小学校卒業までが通院16市、入院13市、中学校卒業までは通院3市町、入院18市町とのこと。また、県が無料化年齢を1歳引き上げたこと、国の乳幼児医療費(就学前まで)が自己負担が3割から2割になるので市の負担が少なくなることなども明らかになりました。
12月議会
区画整理 大幅な見直し
計画をしっかり示し住民理解を
滝沢おさむ市議の一般質問
区画整理事業は飯能市としても過大な計画となっています。特に岩沢の南北地区、約100haの事業は、ほとんど整備が行なわれないまま10年以上が経過しました。住民本意の整備を進めるよう求めていましたが、市もやっと大幅な見直しに着手し、説明会が10月15日から11月27日まで行なわれました。説明会で出されたご意見などをもとに質問をしました。
住民説明会の状況は
滝沢 参加状況は、南部が3割程度、北部でも4割程度。地域住民全体の問題としては、参加率が低かったのではないか、今回の大幅な見直しは、住民の理解を得る事、そこに市が責任を持って進める必要がある。参加できなかった方の意見や疑問を残したままで再スタートを切ってはならない。今後の対応についての考えを伺いたい。
建設部長 説明会の出席状況は、必ずしも高いとは言えないが、説明会以後も電話での問い合わせや事務所に権利者が来ているので誠意を持って対応している。
また、次回の説明会に向けて、今後の街づくり計画案全般に対する質問書を全権利者の方に送ったので、質問にお答えすると共により具体的な内容について説明していきたい。
20年で整備できるのか
滝沢 建物移転が8~9割にも達する大規模な計画となり、当初から住民は疑問を持っていた。今度こそしっかりとした計画の下に整備を進めて行かなければならない。住民の理解と協力は必要だが、財源は市で保障しなければならない。市の責任は当然重い。計画について改めて伺いたい。
建設部長 20年で整備できるかと言うことだが、区画整理地区も除外地区も含めて20年で終わる計画とさせて戴いた。主に工事に要する期間として考えている。道路整備は、現存の道路を生かして拡幅する計画で、期間的にも早くできると考えている。
下水道整備は20年では遅すぎる
滝沢 下水道整備は、住民が一番切望している課題である。見直しにより土地利用ができるようになった時に下水道が整備されていなければ、安心して建て替えや新築ができない。早期の整備が必要ではないか。
下水道部長 雨水、汚水とも自然流下が原則であり、最初に南部地区を最優先し、可能な所から整備を進めて行きたいと考えている。次回までにもう少し計画を具体的にし、財政計画も示していきたと考えている。
学校給食 民間委託の方が高い
計画見直し、調理員採用を
新井たくみ市議の一般質問
新井市議は、市長の政治姿勢、市立病院問題と学校給食問題を取りあげました。給食問題の質問の概要は次のとおりです。
新井 調理員の退職不補充のために、各校1名配置できなくなることから、21年から小規模校の給食室を統合する方向で予算化されようとしている。二重食管などを使うと言うことで暖かさだけが強調されているが、これまでの手作り、学校行事に合わせた献立など現行と変わらず提供できるか。11月13日の学校長、栄養士、調理員などへの説明会でも、「今までと同じにはできない」という意見があったのではないか。
山川参事:全てできないと言うことはないと思う。
民間委託が高いことを認める
新井 決算委員会で「今後、給食のあり方、運営について、民間委託を検討していく」と答弁している。これまで、2回の検討委員会で、委託しても経費は安くならないという結論が出ている。18年度の検討委員会では、850食の大規模校の比較で(グラフ参照)、直営の場合、1460万円(調理員の給与を相当高く見ても)、委託した場合、1647万円だ。学校給食をコストだけで論ずることは問題だが、行革の一番の目的とするコストで見ても経費節減になっていない。定員管理計画で調理員の退職者不補充という方針を見直すべきではないか。
山川参事 マネージメントコストを1割程度と考えても、委託の方が高い。島田総合政策部長 報告が出され、この計画ですすめるということなので、定員管理計画は今のところ見直す考えはない。
質の低下は明らか
給食業界団体である日本給食サービス協会の「学校給食委託の提言」で、「安くて良い給食の両立は困難」として、
①献立が複雑すぎて採算があわない②手作りの負担を考えない陶磁器食器導入に反対③食材は大量一括購入し、冷凍食品の活用も④作業の大変な手作りはほどほどにすること⑤雇用の違いによる栄養士と調理員の人間関係が難しいことから検討することなどを求めていることを指摘し、「学校給食の民間委託は、コスト面でも質の問題でも、法的にも問題となっており、そうした検討もなしに、委託先にありきで、進めることがあってはならない」と強く求めました。
これでいいのか? 教育長答弁
学校給食法が「食育」を柱にすえたものに大改正される。2005年に成立した食育基本法では、「食育を生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付ける」と明確に打ち出していることを教育長はどのように受け止めるか。
教育長 食育は第一義的には家庭にあると思う。
波紋(コラム)
松山の子規記念館に行く予定があったので、それならばと思い司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読んでみました。物語の最初の部分に伊予松山で育った子規のことが書かれているからです。松山空港では、この作品がNHKでドラマ化され、09年から放送されることや、「坂の上の雲ミュージアム」の宣伝が目をひきました▼日露戦争のことを書いたこの作品がどんなドラマになるんだろうと考えていたら、「総点検日本の戦争はなんだったか」(吉岡吉典著)の広告が新聞に出ていました。<70年に19回もの戦争をよその国に仕掛け、そこで何をしたか?世界の舞台へ初めて顔を出した新参者、東海の果ての島国に何故そんなことができたのか?それをこの本は深く掘り下げます>と▼「坂の上の雲」では、「日本が維新によって自立の道を選んでしまった以上、他国(朝鮮)の迷惑の上に自国の自立をたもつのは仕方がないこと」として日露戦争が描かれています。ドラマ化がどんな視点でされるのかの心配もここにあります。こんな歴史観に流されないためにも吉岡さんの本を読んで新年を迎えたい、そんな気持ちです。