新飯能1492号
利用者も事業者も不安いっぱい
介護保険制度「改正」で
介護保険法「改正」にともない、来年度の各自治体での介護保険見直し作業が本格化しています。飯能市としても「飯能市介護保険事業計画策定委員会」が、八月から開催され、来年一月中に事業計画案をまとめることにしています。
改正の主なものは、①軽度者へのサービスを介護予防中心へ移行する②施設入所者、通所サービス利用者の居住費、食費の全額自己負担③地域密着型サービスを創設するとなっています。「持続可能な制度のためには保険給付の効率化、重点化が必要」として、給付費のうち公費を削減し、利用者や加入者の負担ばかりが求められています。結果として低所得者が介護サービスから排除されてしまうことになってしまうことから地域での改善運動が求められています。
九月二十九日、第二回目の策定委員会が開催されました。中心的な中身は、今回の目玉である地域密着型サービスの土台である「地域包括支援センター」の設置が議論されました。
これは、この間の反省に基づいて市町村の機能を強化するために位置づけられたもので、介護予防を中心に様々な相談業務を行うとして、国は人口二~三万人に一カ所の設置目安を示しています。
ところが、市は、当面一カ所(今後二~三カ所とする予定)民間委託でおこなう方向です。これできめ細やかな住民サービスが実施できるはずがありません。
介護事業者も不安の声寄せる 党議員団が訪問
このような中で、金子敏江、山田利子市議は、民間の介護保険事業所への訪問活動を行い、直接要望を聞いています。
ヘルパー派遣事業を行っている事業所では、「要支援・要介護一の軽度の利用者が現在のような在宅サービスを受けられなくなってしまうと、事業所としても利用者の六割が軽度者なので死活問題になる。国も具体的なものを全く示さないので本当に不安だ」、また他の事業者の方は「法改正の影響で施設に入所している方が負担増に耐えられず、在宅を余儀なくされた場合に二十四時間の対応ができるよう、今から準備している。地域密着型のサービスがどうのように展開されていくのか全く見えない」、またある介護支援センターの職員は「介護保険制度がスタートした時点と比べて市からの委託料が激減して兼務が当たり前になっている。今後さらに減らされるのではと心配している」と語っていました。
高齢者が住み慣れた地域で生き生きと暮らし、本当に予防効果が上がったという結果をつくるためには、自治体が本気になって高齢者福祉の事業を総合的に展開することが必要です。
4総審議会 南高麗地区を特定施設誘導地域に位置づけ
平成十八年から十年間の飯能市の街づくりの方向を決める第四次総合振興計画の議論が市民、学識経験者、議員が参加する審議会で進められています。九月三〇日までに六回の委員会が開かれ、「共に創る 人と緑かがやくまち」をメインテーマに環境にやさしいまち、福祉と健康のまち、人と文化が育つまち、賑わいと活力を創造するまち、自主・自立のまちへの具体的な方策を検討しています。
九月二一日開催された第四回の審議会に南高麗地区を産業拠点に位置づけるよう求める要望書が八月三〇日付けで自治会連合会南高麗支部長から提出されたことが報告されました。
執行部としては、南高麗地区は、市街化調整区域のため、人口減少が深刻な課題となっているので、都市計画法第三四条八号の四の区域として、「特定施設誘導地域」の指定を行い、優良企業の誘致を目的に、総合振興計画基本構想の土地利用構想図へ位置づけたいとしています。
新井たくみ委員は、「地元の議論や経過、また庁内論議はどうだったか」と質問。武藤文夫委員も「地域に説明しているのか」と質問しました。
総合政策部長は、「地区懇談会などで人口減少が課題であり、要望書がまとまった。山間地域振興計画策定に関する地区懇談会でも説明を行った」と答えました。
*特定施設誘導地域とは、
都市計画法改正で、市街化調整区域の開発行為の制限が緩和され、市町村の土地利用計画に即した建築物の用途を倉庫・工場・商業施設などに限り可能とするものです。
介護保険 低所得者の負担軽減を
新井たくみ市議の一般質問
新井: 介護保険法の改悪によって、要支援と要介護度一のうち、一五〇万人~一六〇万人の人が、これまでの介護サービス利用を禁止され、受けられるのは「新予防給付」のサービスだけになる。「新予防給付」の中心は、筋力トレーニングや栄養指導など。今回の「改正」のねらいは、軽度の人たちを介護サービスから排除し、介護給付費を削減することにある。今年一〇月から特養ホームなど介護施設の居住費用と食費が全額自己負担になり、平均で年間四〇万円にもなる。
サービスが受けられる体制を
飯能市は、ホテルコストに対する低所得者の軽減対策をどのように考えているか。「新予防給付」でヘルパーやデイサービスの利用が制限されることになるが、サービスが受けられなくなるお年寄りにどのような手だてを考えているか。これから介護予防の中心として、地域支援事業と地域包括支援センターの役割は重要だが、それを担う飯能市の保健師等の体制はどのように考えているのか。
福祉部長: 新二段階まではこれまでとほぼ同様の負担。新三段階(八〇~二六六万)以上でも高齢者のみ世帯で一方が入所、一方が在宅などの場合については、居住費、食費の負担軽減措置がある。市では、国の制度にもとづいていきたい。詳細は四月までに国で検討中だ。軽度者についても、家族や地域の協力が得られない場合は、家事援助も可能としている。包括支援センターは、委託の方向で検討しているが、中心的役割を果たす保健師確保は重要。検討中だが充実に向け努力をしていく。
国民保護の名のもとに隣組的治安統制は許されない
新井:今年八月一日の自民党の新憲法第一次案では、憲法九条の「戦争放棄」「戦力の禁止」を削り、「自衛軍の保持」「自衛隊の海外での活動」を明記した。「戦争できる国へ」の大きな転換になる。現在、全国の市町村で、有事法制にもとづく国民保護計画を作る準備作業に入っている。国民保護計画では、「武力攻撃事態」に備え、国民の保護施策を定めるとされている。基本的な仕組みは、風水害などへの対処を定めた防災計画と似ているが、国に基本的責務が与えら、避難指示も国の権限とされている。地方分権の流れに反するもので、国民保護計画の枠組みが防災などの体制に悪影響を与えないか懸念される。計画策定にあたる国民保護協議会の場に市民を含む関係者の参加を保障させることも必要だ。自主防災組織のあり方についても、国民保護計画策定の機会を、「地域の防災力」向上の場とするのか、「隣組」的治安統制強化の場にしてしまうのかが問われている。飯能市は、どういう観点で、どのような計画作りをしようとしているのか。
総務部参事:都道府県計画に基づき、整合性を図りながら十八年度に策定することになる。現在、県とプロジェクトチームをつくり、モデル計画つくりを行っている。自主防災組織については、自主性を尊重し、訓練の強制はしないこととしている。