1786号
改定・介護保険制度
サービス切り捨てと給付減らしをやめさせよう
介護保険サービスのいっそうの抑制を可能にする介護保険法改定案が、6月成立しました。その内容について学習し今後の運動に役立てようと、17日、「医療生協さいたま」主催の学習会が開催されました。平成12年にスタートした「介護保険制度」は、3年ごとに大幅な見直しが行われ、今回の見直しは第5期(H23~25年まで)の制度改定になります。改定では、要介護認定で「要支援」と認定された人を従来の保険給付の対象から外し、新設する「介護予防・日常生活支援総合事業」(総合事業)の対象に移すことができる仕組みが盛りこまれました。総合事業では、訪問・通所、配食、見守りを行います。
決定権は市町村に
要支援者が保険給付と総合事業のどちらを利用するかは、市町村が判断します。しかし、総合事業の財源は、介護保険財政から出るものの上限があります。サービス内容、職員の資格と人数、施設設備、事業者への報酬と利用料には保険給付のような全国一律の基準がありません。これでは、「ホームヘルパー派遣が無資格者の有償ボランテイアに、デイサービスセンターへの通所が公民館での見守り・預かり事業に置き換えられる危険があり、『安かろう悪かろう』の総合事業である」と指摘されています。
この総合事業を実施するかどうかが市町村の裁量とされています。従来の介護予防サービスや誰もが利用できる地域支援事業、高齢者施策を充実させるために、上限の撤廃や市独自の福祉施策を手厚くすることが求められます。
利用者・家族が望む介護保険制度に
「介護保険10年」の現状はどうでしょうか?・重い負担でサービスを控えている。・必要な介護が受けられない。・家族はへとへと。でも、すぐに施設に入れない。・納得行かない「要介護認定」。・保険料は右肩上がり。支払いはもう限界。などなどです。さらに、家族介護者の負担は増え続け、介護する女性の半数が高血圧であるとか、高齢者虐待は年々増える傾向にあり、家族の介護のために離職する人は、介護保険制度が創設されたH12年当時年間9万人超だったものが、H18年には約15万人と「介護の社会化」どころか増え続けているのです。
利用者や家族にとって望ましい制度は何かという発想からの意見をあらゆるところで上げる事が求められているのです。
終戦六六周年
日本共産党飯能市議団が宣伝
終戦66周年の15日、日本共産党は全国いっせい宣伝を行い、飯能市議団も市街地を中心に街頭から「核兵器のない日本を」「原発ゼロの日本を」、みなさんと力を合わせましょうと訴えました。
猛暑の中で、金子市議は「終戦66周年の今日、先の大戦で犠牲となった内外の人々に哀悼の誠をささげるとともに、日本国憲法前文に『政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないように』すると明記されているように、平和への決意を新たにしアジアと世界の人々との友好と連帯の旗をいっそう高くかかげるものであること。また、今年の終戦記念日を日本社会と国民は、東日本大震災と東京電力福島第一原発の爆発事故という、戦後かつてない苦難と辛苦の中で迎えることとなった。前途は多事多難であるけれども、国を上げた救済・支援によって震災前よりも固く深い絆で結ばれた地域共同体を再生させることは可能だと確信する。一旦起きてしまった原発事故は、どうにも制御できない。人間が生み出した原発は、人間の手によって止める事ができる。『原発ゼロ』の日本をめざすとともに『核兵器のない世界』を一日も早く実現しよう」と訴えました。
布川事件「再審無罪」報告会
証拠を改ざんした責任を追及したい
四十三年余をかけて完全無罪をかちとった桜井昌司さんを迎えて、布川事件「再審無罪」報告会が国民救援会飯能支部(杉田実会長)の主催で、12日開催されました。
第一部の報告会で約三〇分にわたって報告した桜井さんは「本年五月の水戸地裁土浦支部での無罪判決を聞いて、肩の荷がおりた感じだった。今後は、有罪だった裁判で無罪になる証拠を隠したり、証拠を改ざんして有罪にもっていった警察と検察の責任を追及していきたい。また警察と検察の言い分だけで有罪とした裁判所の責任も追及したい。逮捕されてから今日まで四十三年七カ月と長かったが、振り返ってみて『不運』ではあったが、救援運動や守る会の活動に励まされ、多くの友人が生まれて、決して『不幸』ではありませんでした。」と述べました。そして、「再審裁判で無罪が確定し、今はとてもすがすがしい気持ちです。」とも述べました。
救援運動で知り合った女性と結婚
第二部の祝う会では参加者一人ひとりからお祝いの言葉がかけられました。桜井さんが仮釈放後に、救援運動の中で知り合った女性と結婚したことなども話題になり、和やかな会となりました。
ある参加者は「被告と呼ばれる生活を四十四年にわたって送ったにも関わらず、不幸ではなかったとはっきりと言える桜井さんに敬服しました。国家賠償請求でも頑張ってほしいです。」と感想を述べていました。
市独自による放射性物質の農産物への影響調査について
飯能市では、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う放射性物質の農産物への影響調査について、市独自に検査を実施し、公表しました。
8月7日に現地圃場から果樹(ナシ、ブドウ)を採取し分析を行ったところ、左記のとおり、安全が確認されました。
■調査地域 飯能市内
■調査対象 ナシ、ブドウ各1検体
■採取日 8月7日
■分析機関 財団法人 日本食品分析センター多摩研究所。
飯能産の果樹の安全が確認されたことで農家も一安心です。今年もナシ、ブドウが収穫の最盛期を迎えます。
なお、8月12日に小岩井浄水場、両吾野浄水場から採取した水道水からも放射性物質は、検出されませんでした。
消防広域化 何が問題? ②
目が行き届かない
人口78万人、面積400平方キロの消防本部に
所沢市(33・8万人)狭山市(15・5万)入間市(14・9万)飯能市(8・2万)日高市(5・8万)の5市の消防本部を統合すると東村山市堺から横瀬や毛呂山堺まで400平方キロにも及びます。
飯能・日高を合わせると面積では6割を占め、山間部も多くかかえています。しかし、人口規模では18%です。 所沢市と飯能・日高では地理的条件も大きく異なっており、火災や救急出動も違いがあります。こうしたところで、職員の異動も頻繁にありますから混乱することは明らかです。
広域連合の議員は20名
議員の定数は20名としていますが、仮に人口割で試算すると飯能市は1・8人、日高市が1・4人ですから合わせても3名程度でしょう。6割を占める飯能・日高地域からの選出議員は2割弱ですから、住民の声が遠くなり、目が行き届かなくなることは明らかです。
石巻市長は語る
通信網の寸断で、旧石巻市の本庁は旧6町の被害をつかめなかった。合併時の「行革」で約2100人いた職員が2割近く減らされ、他の自治体からの応援など約500人を加えても手が足りない。がれきの撤去も進まず、旧町の住民からは「中心部との対応に差がある」との声もある。会見で亀山紘市長は「旧6町の被災状況が伝わらず、指示もできなかった。中心部の被害も大きく、その対応に追われた」と初動の遅れを認め、「本当に合併してよかったのかという意見も出てきている」と語った。(5・31朝日新聞)
消防広域化でも同様の事態が懸念されるのではないでしょうか。
波紋(コラム)
映画「父と暮らせば」で、先日亡くなった父親役の原田芳雄が「気いつけいきいや」と娘に声をかけます。晴れた八月の空に目をやった娘役の宮沢りえは怪訝そうに「Bがなにか落としよったが?」といいます▼「空襲警報も出てらんのに、いなげなことじゃの」「何を落としよったんじゃろ。また謀略ビラかいね」。なんとものどかな風景ですが、他の記録にも空襲警報が発令されていなかったので、B29とパラシュートに気づいた中学生や女学生もたくさんいて、避難しないまま空を見上げていたとあります▼6日のNHKスペシャル「原爆投下 活かされなかった極秘情報」は日本軍が原爆を搭載したB29の広島接近を事前に察知していたのに、空襲警報ひとつ発令しなかったという驚くべき事実をあきらかにしました。ひどい話です。今回の原発事故もそうですが、国策のためには市民の犠牲などかえりみないという日本の体質がまたひとつうきぼりになりました。