新飯能1628
改正保険業法・後期高齢など請願三件が「趣旨採択」に
肝炎や原爆症救済の意見書を国会へ提出
6月定例市議会に提出されていた、三つの請願がそれぞれ各常任委員会で趣旨採択されました。一つは、「改正・保険業法見直しを求める請願」で、団体としては、飯能民主商工会、郵政産業労働組合原市場分会、全日本年金者組合飯能支部、埼玉県立飯能南高校教職員組合、飯能市職員組合、自由の森学園教職員組合、飯能市勤労者山岳会、全国福祉労組すぎのこ保育園分会、埼玉土建一般労働組合飯能日高支部、新日本婦人の会飯能支部などで、個人署名1421筆とともに提出されました。
内容は、本来「オレンジ共済事件」のような悪質な詐欺事件を防ぐために、運用の厳格化をはかることを目的に「改正」したものが、実際の運用では、障害者団体や小規模で運営している非営利の自主共済にまでおよび運営が困難になっているため、こうした団体については非営利であるので対象からはずすよう求めたものです。厚生文教常任委員会(金子敏江委員長)では、委員の中から、提出者の方々の請願理由はよくわかるが、保険業法の「改正」によって、適用と除外の基準が明確になっていないという理由で、賛成しかねるという意見があり「趣旨採択」となったものです。
二つめには、「後期高齢者医療制度の凍結と抜本的な見直しを求める請願」で、飯能市社会保障をよくする会から3度目の提出となりました。昨年12月議会、今年3月議会に提出された請願は、不採択でした。しかし、今回は、廃止の世論が大きく広がっていることから、「趣旨採択」となったものです。
三つ目には、「ミニマムアクセス米の輸入停止を求める請願」で、内容は、1995年に結んだ世界農産物協定(WTO協定)は、当時、農産物の生産がかなり豊かに行われていたときの協定で、現在は、地球温暖化による影響と、世界的な穀物投機によって、食料不足と食料の高騰を招いて食糧不足が起こっています。このような時に、日本が、毎年77万㌧の不必要な米を輸入し続け、その内の70万㌧を飼料米に回すなどは人道上も問題であるので、1995年に結んだ世界農産物協定(WTO協定)の見直しを求めるものですが趣旨採択になりました。それぞれ共産党市議団が紹介議員となって奮闘しました。
共産党が提案した、「C型肝炎被害者の救済に関する意見書」と「原爆症認定と被爆者の救済に関する意見書」が、議会運営委員会で協議され全会派一致で、国に(内閣総理大臣、関係大臣宛)あげることができました。
「C型肝炎被害者の救済」については、感染から発症までに10年から20年と長期にわたり、カルテの保存義務は5年であることから証明が難しく、救済対象からはずれてしまうため、柔軟な対応を求めるものです。
「原爆症認定と被爆者の救済」の問題では、全国に25万人以上いる原爆被害者のうち、原爆症と認定されている方は2200人余りで1%にも満たない状況です。今年に入って厚生労働省は、認定基準を見直しましたが、それもきびしい線引きと制限があるので、なお一層の見直しを求める内容です。
日本共産党は、定例の議会ごとに、こうした国政問題について「意見書」という形で、地方議会から声をあげることに取り組んでいます。
○趣旨採択とは、願意は十分に理解できるが、請願として採択までには至らないこと。
障害者燃料費補助は
介助者の車にも拡大を
山田とし子市議の一般質問
山田 現在、身体障害に支給されているガソリン券は、「免許証を持ち自己所有の車を運転するもの」に限られている。実際には免許証は持っていても障害によっては運転できず、家族等の介助が必要な方もいる。障害者自動車燃料費助成要綱を、障害者を乗せて通院や移動に使用する車にも適応できるよう拡大すべきではないか。
福祉部長 日常生活に支障をきたす人の自立を支援することから補助している。自立支援制度が制定されたことや近隣市の状況を含め研究課題として考えていきたい。
福祉職場の人材不足を改善できる市独自の施策を
山田 現在、介護、障害者などの福祉職場の人材不足が深刻化している。
私ども市議団は日本共産党の「深刻な人材不足を打開するための緊急提言」を基に施設を訪問、調査を行った。
どの施設でも人探しが一番大変で、ハローワークや専門学校に募集をしても集まらず、意欲に燃えて入って来ても続かず、人探しには四苦八苦している。
職員は「働いても月給16~17万円、夜勤してやっと20万円ぐらい、夜勤は2階と3階の病棟を1人で診るため、何かあったら対応できない、夜勤明けは疲労困憊。これでは結婚もできない。本当にこれでいいのかと思う」と事務長さんが語っていた。まさしく「福祉ワーキングプア」である。
市としてこういう状況を放置していて良いのか。
福祉の人材が確保できるように市独自で何らかの支援策を講ずるべきではないか。
福祉部長 人材不足の主な原因は、5人に1人が辞めている離職率の高さ、高齢者の命を預かる責任の重い仕事で、高度な専門性が要求されるにもかかわらず、それに見合う待遇が保障されない
ためといわれている。高齢者が安心できる社会を築くには、待遇改善、地位向上は重要であると思う。市独自の施策は考えていない。国の事業であり今後、全国市長会等で要望していく。
名栗幼稚園の臨時教諭の処遇改善を
山田 合併時、名栗幼稚園の臨時教諭の賃金を、時給1200円を950円に下げた経緯がある。今年度から公立保育所の臨時保育士の処遇が改善された。同様な措置を講ずるべきではないか。
教育次長 「臨時教諭については日額給ではなく時間給であり雇用条件を満たしていないため、対象とはならない」と冷たい答弁。
重大な政策決定は市長選で信を問え
新井たくみ市議の一般質問
新井 沢辺市政の7年間は、小泉構造改革のまっただ中で市政運営を迫られた時期で、「官から民へ」「市場開放」「規制緩和」などが大胆に進められた。その結果、国民は、増税と負担増、貧困と格差が拡大し、「ワーキングプアー」などという言葉が定着するまで生活が破壊された。地方自治体も、地方交付税の大幅削減などで、財政破たんがおきている。市民生活や地方自治が破壊されようとしたとき、沢辺市長はどのような対応をしてきたか、国に向けた地方からの発信があったのか、市民を守る施策を講じたのかどうかが問われている。国の悪政のしわ寄せを市民に押し付けてきたのではないか。市政運営でも市民・職員の声を聞かずトップダウンで進めている。こういう市政はもう変わってほしいという声が圧倒的だ。来年は市長選の年、市民生活に重大な影響を及ぼす病院問題、保育所民営化、給食民間委託、消防広域化などは、第4次総合振興計画にもないもので、このまま市政を続けようと言うなら、市長選の公約に掲げて信を問うべき問題ではないか。
市長 選挙とは別の問題。重要な政策課題は、きちんと説明し、決定することが大事だ。
ガイドラインに関わらず医大との連携強化で改善を
国は、病床利用率が70%以下の公立病院にガイドラインを示し、病院改革計画の作成を求めている。国は財政面での効率性から国の負担を減らすことがねらい。そもそも地域医療崩壊の原因は、医療費抑制・診療報酬制度改悪、医師抑制政策、さらに交付税の削減だ。もともと不採算の医療を担っているのが自治体病院。全国の75%が赤字、県内でも12病院全てが一般会計からの繰出金なしに運営できない。
総務省・地域企業経営企画室の説明では、「検討の結果、該当する病院組織を現状維持とする実施計画になっても支障はない」と説明し、総務省の「公立病院改革懇談会」では、「公立病院といっても都市部と地方で、一律には論じられない」「中山間地域などの病院が民間並みの効率化を行うことは難しい。枠外にしてもいいのではないか」などの意見が続出したという。埼玉医大と連携を強化し、医師の派遣と患者の紹介で病床利用率を高めるということが必要なのではないか。
調整監 ガイドラインは強制ではない。地域医療を確保するために地域の実情に合わせて策定していく。
給食は生きた教材
国では、平成17年に食育基本法を制定し、22年度までに食育推進計画を作成・実施する市町村を50%以上にする目標。今国会には、学校給食法の一部改正案が提出され、「食育」を学校給食の目的に位置づける。そこで飯能市は食育推進計画を策定し、学校給食を食育の柱に位置づける必要がある。教育長は、食育を給食にどのように位置づけていくのか。食育には、栄養士、調理員の役割が大きい。集中改革プラン見直しで給食調理員の新規採用を行うべきだ。
参事は、「食育は知育、体育、徳育の基本。給食は食育の生きた教材だ」と答弁しましたが、総合政策部長は、「集中改革プランを現時点で見直すことは考えていない」などと答弁。
波紋(コラム)
憲法に生存権、社会保障をうける権利を明確に規定している国はサミット諸国でも少ないのだそうです。憲法25条は①すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。②国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び、公衆衛生の向上及び増進に努めなければならないと規定しています▼福田首相は高齢化社会を口実に消費税を増税するといいだしました。とんでもない話です。後期高齢者医療制度への怒りを逆手にとって、社会保障費の増大が財政悪化の原因だといわんばかりです▼憲法9条と25条は一対のものだと思います。戦争をしない国、軍隊を持たない国だから、その予算を社会保障の増進にあてることができるのです。ところが日本の軍事費は年五兆円規模にふくれあがり、世界でも有数の軍事費大国になっています。憲法で規定されている暮らしや福祉の予算が抑制され、憲法違反の軍事予算が大手をふってまかりとおっているなんて異常です。消費税増税のまえに福田首相にはやることがあるはずです。