新飯能1592号
保険料が平均年額9万4千円
埼玉・75才以上医療で懇話会が試算
来年4月から開始するとしている後期高齢者医療制度(75才以上が対象)については、高齢者に新たな保険料負担を持ち込み、滞納すれば「短期保険証」や「資格証明書」まで発行し、治療の内容も大幅に制限することから、こんな制度が実施されたら生きてゆけないと、批判の声が大きく広がっています。
埼玉県は全国平均より高い試算
飯能市では、19年1月1日時点で7249人の高齢者が対象になります。このような中、9月18日の「埼玉県後期高齢者医療懇話会」が開かれ、埼玉県の保険料について、一人平均年額9万4000円(月額約7830円)になるという試算が出されました。内訳は、加入者全員に課される均等割が4万300円、所得に応じて課される所得割が5万3700円となっています。この試算は、埼玉県の場合、全国平均に比べて所得水準が25%程度高いことから、国から支給される調整交付金が75%しか受け取れないと想定して、その分を所得割を増やして試算したものと説明しています。また、病気の治療などにかかる医療給付費のほか、健康診査などの保健事業費や葬祭費を加えると、保険料は年額9万9400円(月額約8280円 )となるとのことです。保険事業費については、埼玉県の加入者約57万人の3分の1の人が健康診査を受診するという想定で試算し、年額2400円(月額200円)を上乗せしたものと説明しています。
不満の声次々に
「懇話会」では、保険料額の試算について異論は出なかったものの、国からの調整交付金がカットされることについては不満の声が相次いだと言うことです。この点では、立場を超えてお年寄りへの負担増、差別医療を問題視する声は大きく、国に対して保健事業への財政支援や、制度の周知などを求めて、関東4県の広域連合長が厚生労働大臣あてに「後期高齢者医療制度準備に対する緊急要望」書を提出しています。(埼玉県広域連合長は斉藤博所沢市長で、東京、千葉、神奈川の4県)
制度の見直しを
日本共産党飯能市委員会では、「後期高齢者医療制度」の見直しを求めて「広域連合議会」や国に提出する署名運動を開始しました。「えっ?コウキ何制度?」「お年寄りにここまでやるの?」「確かに高齢化社会だけど、社会保険庁職員の横領とかそっちの方をしっかりやってほしい」と、どこでも対話がはずみます。高齢者の生存権をまもるために、ご一緒に力を合わせようではありませんか。
政党助成金裁判記録集
出版記念のつどい開かれる
21日、一丁目クラブで、「政党助成金訴訟の会」(会長須賀貴弁護士)の皆さんが5年間にわたる裁判の記録集を発行し、その記念の集いがにぎやかに行われました。 「政党助成金は憲法違反」というごく当たり前の主張をして、飯能市在職・在住の113名が原告となり東京地方裁判所に提訴したのは、2002年3月。訴訟弁護団長には大久保賢一氏、松井繁明、上条貞夫弁護士と強力な布陣で臨みました。結果は残念でしたが、裁判所をして「政党への寄付の自由は思想・良心の一側面」という新しい判断を引き出しました。この日は、将来必ず税金のムダ使いとして断罪されるだろうと、参加者一様に意気軒昂でした。
専門性認め
待遇改善を約束
山田とし子市議の一般質問
山田 福祉の担い手が正規職員でも月収20万円未満が4割、自立できない状況で「福祉労働者がワーキングプアー」という新聞報道があったが、市の臨時職員も同じような処遇で、一時金もなく月々157300円。自立した生活は勿論,結婚もできないのではないか。
こういう働かせ方は自治体が現場を大事にしない効率一辺倒の管理主義そのもの。臨時であっても保育士は知識と技術を身につけ資格を有する専門職である。しかし、6月議会では、「保育士だけというわけにはいかない、臨時はこども家庭課でも半々、公平性の観点からもその辺は変えてはならないと思う」との答弁。専門性を認めないというのか、伺いたい。また、現在の検討状況は?
市長 専門職としての資格、全体で割合が多い、手助けという分野を超えてかなり責任ある仕事をしている人もいるという観点で、待遇を改善していきたいと考えている。具体的には言えないが、新年度に向かって検討していく。
妊婦の無料健診の回数拡大を
山田 子どもを産み育てる家庭にとって出産に関しての経済的負担は重い。以前から負担の軽減を求める声があがっていたが厚生労働省は「少子化対策の一環として妊婦健診の望ましい公費負担の回数は14回程度、市の財政上困難な場合、経済的理由等により受診をあきらめる者を生じさせない為に、最低5回程度の公費負担が原則」として19年度予算に計上。他市でも今年度から実施するところがある。飯能市も補正を組むなどの対応が必要ではないか。
福祉部調整監 補正は考えていない。近隣市町村をみて平成20年度、5回まで拡大できればと考えている。
丁寧な対応で払いやすい保育料に
山田 保育料の滞納が大きな問題となっているが、市は減免規定に沿ってどのような対応をしてきたか、また、D6階層までの低所得世帯の滞納が多く、階層区分の細分化を行い、保育料を払いやすくする考えはないか?
福祉部長 厚労省の通知による階層区分の変更は18年度15件。今後、正当な理由なく滞納している方については、差し押さえる。
「差し押さえ」答弁は初めて。担当課の徴収努力は理解できるが「国の言う通りではなく、差し押さえしなくてすむよう階層区分の細分化と丁寧な対応」を求めた。
市民生活が大変な時だから
増税・負担増計画は中止を
新井たくみ市議の一般質問
新井 「構造改革路線」は、格差と貧困を産みだした。その上、連続した増税と負担増で、所得税・住民税の老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮小、配偶者控除の廃止。高齢者の非課税措置の廃止、所得税・住民税の定率減税の廃止などの増税が強行され、来年4月からは、70~74歳までのお年寄りの医療費負担が2倍に。75歳以上のお年寄りの後期高齢者医療制度も始まり、新たな負担がおそいかかってくる。飯能市では、国保税の増税、介護保険料の値上げ、下水道料金値上げなど二重、三重に市民生活が大変になっている。
飯能市の「行政改革」プランには、国保税・下水道料金の値上げやゴミの有料化など市民負担増の計画が揚がっているが、こんなに市民生活が大変な時期に値上げ・負担増の計画は凍結・中止すべきではないか。
市長 個別にはここでは答えられないが、いろんな情勢をみながら、慎重に検討したい。
市民生活を守る暖かい施策を
新井 こうした厳しい生活環境のときだからこそ、市民に一番身近な市政が、市民生活を積極的に応援し、国の悪政から市民を救済していく施策が求められている。
高齢者の支援策として、①介護保険料の減免と利用料助成の拡大②住民税増税による国保税及び介護保険料の経過措置の延長③介護保険の要介護者には、市長の「障害者控除対象者認定書」があれば、障害者控除・障害者特別控除が受けられる。確定申告時にすべての対象者に、「障害者控除対象者認定書」を郵送で交付することができないか。
福祉部長 経過措置の延長はできない。「認定証」については担当課と検討したい。
「医療費適正化計画」県に市として主張を
新井 昨年「医療改革法」で、医療給付費の削減、患者負担の引き上げ、診療報酬の引き下げ、病院入院日数短縮・療養ベッド数削減が計画されている。国は、都道府県に三つの計画策定を義務づけ、①「医療費適正化計画」として、「平均在院日数の短縮」 ②47都道府県に、医療給付費を管理させ、全国平均を基準に「適正化」を競わせる。③平均在院日数の短縮を確実なものとするために、疾病ごとに医療機関の連携体制を地域単位で編制する。
県が医療費適正化計画を19年度中に作成するということになると、県と市との調整はどのようにされるのか。
福祉部調整監 11月頃には、県と市町村との調整があると思うので、12月にはお知らせできると思う。
医療難民をつくらぬようしっかり計画を
新井 療養病床を、38万床から23万病床も削減する計画がすすめられてい。医療や介護の必要の人の受け皿がなくなることのないように、市がイニシアチブをとって、しっかりとしたニーズ調査に基づく計画を立てる必要があるのではないか。
福祉部調整監 医療難民が出ることがないよう、医療や介護の必要な人の受け皿が支障がないよう慎重にすすめていきたい。
波紋(コラム)
二十五日は川口市で散歩中の保育園児がわき見運転の車にはねられ、四人の幼い女児の命が奪われた事故から丸一年の日でした。事故で子どもが犠牲になったお父さんは「自分がいつ加害者や被害者になるかも分からないから、もっと自覚してほしい」と厳しい表情で語っていました。献花に訪れた市長は「悲惨な交通事故が繰り返されないよう、交通安全に取り組むことを改めて決意した」と述べたということです▼それはそうだと思いながらも、この挨拶に「交通安全だけなの?」という違和感を覚えたのは私だけだったのでしょうか。事故にあった保育園には園庭がありませんでした。そのためこの保育園では毎日のように近くの公園に散歩に出かけていました。あるいは広い園庭があれば、子どもたちは事故の犠牲にならなくてもすんだかもしれないと思うと保育環境の貧しさに怒りがわいてきます▼この事故をきっかけに全県的な通学路等の安全点検が行われました。飯能ではどうだったのでしょうか。事故一年の日に自分たちの足元もしっかり見つめなおしたいものです。