新飯能1565
市長・教育長で給食費徴収?
生活実態を把握する丁寧な対応を
昨年11月文部科学省は、全国公立小・中学校での「学校給食の徴収状況に関する調査」を行い、給食費の滞納額が、22億3000万円、約10万人の滞納者がいると報道しました。この調査結果をもとに文科省は、各都道府県教育委員会等に通知を出しました。
その後、未納が生じる主な原因について「保護者としての責任感や規範意識」と回答した学校が60%との結果が強調され、徴収を強化する方策が取り上げられています。
3月定例市議会2日目の一般質問で、加涌弘貴市議が取り上げた「教育再生」と題した教育問題の質問で、飯能市内の小・中学校での給食費の滞納の状況報告を求めた後、「今後さらに滞納が増えて給食の品数が減少したり、質の低下を招かないように、悪質な滞納者には『負担の公平性』の見地からきびしい対応も必要ではないか」と質問し、教育委員会と市長に答弁を求めました。
法的措置も?!
これに対して、教育委員会佐藤参事は、「滞納世帯の半分以上は支払能力があるというふうにとらえている。学校はルールを守ることを教える場所。権利と義務について学んで社会のために生きるということを学んでいる。親御さんの行動、考え方が子どもたちに与える影響はとても大きいと考えている。一人でも多くの保護者の方に義務を果たしていただきたい」としたうえで、「一人でも多くの方に納めていただくよう法的処置も含めて、今後情報収集等、検討をすすめていきたい」と答弁しました。
続いて市長は、「実は学校給食の提供責任者は私なので、正しく運営されていないと困る。学校の事情も聞いたがなかなか大変だ。私と教育長と2人で、面談してぜひ払ってもらうというようなことをやりたい。新年度になったら早速、日程表を組んで実行したいと考えている」と答弁しました。
払えない事情把握と積極的対応を
しかし、給食費を払っていない家庭は、給食費だけでなくさまざまな問題を抱えているはずです。大切なのは滞納世帯が何か他の困難を重ねもっているかどうかを把握し、必要に応じて就学援助制度などを積極的に活用するなどの支援が求められます。
川寺上野線3月28日全線開通
都市計画道路、川寺上野線は299バイパス~第一小学校西側まで開通していましたが、同小から中央公民館前まで約320mの工事がまもなく完了し、総延長2220m(総工費、44億円)全線が、3月28日午後一時から利用可能となります。通称、高麗横丁は道路幅が狭く大型車の通行により歩行者が危険にさらされていましたが、今回の前面開通により解消されることとなります。
開通式は、28日第一小学校体育館裏付近で開催され、10時から飯能西中学校吹奏楽部や地元囃子連などによりセレモニーや通り初めが行われます。
昨年の299号バイパスの開通、また今回の川寺上野線開通により、自動車は市内に乗り入れることなく、秩父方面へ向かうことができるため市街地の交通は緩和されますが、その一方では人通りの減っている商店街に少なからず影響をあたえそうです。
また、現在中央公民館前の交差点に配置されている交通安全指導員が不在になっている問題や、新しく交差点となる第一保育所前などは著しく交通量が増大するので、通学の子どもたちや保育所の送迎について、安全を確保することが大きな問題になっています。
市の考える医療が見えない
常勤医師も厳しく指摘
新井たくみ市議の一般質問
新井市議は、「この間、病院存続の署名が取り組まれ、市立病院を良くする会と自治連5支部で2万筆を超える署名を提出した。市長は『市立病院のベッドを廃止しないでほしい』という声をどのように受け止めているか。これまでの議論のなかで、経営改善の本格的な議論がされてこなかったということがはっきりしてきたなかで、本格的に経営改善について検討していくことになるという理解でいいのか。医師の確保について具体的に、どのような対応をしてきたのか」と質問。
また「私は、この間、院長さんや自治医大からの派遣医師からもご意見を伺った。特に、派遣医師の渡邉先生から建設的なご意見をいただいた」として、市長にあてた、左記のメールを紹介し、「この指摘をどう受け止めるか」と質しました。
沢辺市長は、「ホットミーティング、地区懇談会できちんと話をする機会をもちたい。同時に、実態調査、医業経営者によるシュミレーションを行い、専門家による有識者会議で検討したい」などと答弁しましたが、渡邉医師のメールに対しての直接の回答はしませんでした。
市立病院外科医師の渡邉先生が沢辺市長にあてたメール(先生の承諾をいただいて掲載します。見出しは新井)
飯能市立病院に赴任して感じていること ー
(省略)・・・現在、当院を巡る問題が佳境を迎えていますが、私の立場から感じることを是非市長に聞いて頂きたいと思いメールさせて頂きました。
病院を巡る問題は赴任前から噂では聞いていましたが、私は一年間でいなくなってしまう派遣医師ですから、あまり積極的に干渉すべきではないと思いこの半年間診療に努めて参りました。しかし、ここへ来て病院や地域の現状をもっと市長に知って頂く必要があるのではないかと感じています。「医師として」「病院職員として」「市民として」の立場からを総合した意見ですが、様々な病院をみてきた上で感じたことですので御拝聴頂けたらと思います。
私は自治医大の出身で、埼玉県には2004年から赴任して2年間小鹿野町立病院への勤務を経て飯能市立病院へ参りました。今まで赴任した病院もそれなりに大きな問題を抱えていましたが当院の抱える問題は少し性質が違うようです。
市の考える医療が見えない
現在、私の目から見て感じる一番の問題点は、「市の考える医療が見えない」ということです。今までの自治体病院では首長が病院に頻繁に出入りし、公的病院のあり方について職員や患者さんと議論しながら医療を作っていく姿勢がありました。飯能市では抱える医療圏と公的病院の意義が他の自治体とは明らかに異質であるという事情がありますが、事件は議会で起こっていて現場が置き去りにされている印象があります。市立病院をどうしていくかだけではなく飯能市民の医療をどうしていきたいのかを地域医療を担う一医師としてはお尋ねしたい気持ちです。
私の意見としては病院の縮小自体は、現在の利用状況を考えるとある程度やむを得ないと感じています。これはお金の理由ではなく純粋に需要を考えた上での意見です。しかし言い換えれば、ほぼ稼働している30床強は確実に必要と言うことも言えます。大切なのは、患者さんの立場に立った縮小がなされなければならないと言うことです。ただですら公的病院としての役割を担い立地条件も悪いですから利益をあげようとすること自体が難しいと思いますし、企業ではありませんから単純に利益目的でもありえません。特にお金には代えられない健康に関わる問題ですから単純に赤字が理由だけでは住民は納得できないと思います。しかも住民に意見を聞く機会を設けるでもなく説明会を開くでもなく、一方的に病院がなくなると言われれば、誰だって怒ると思います。病院に勤務している私にすら噂でしか耳に入ってこない状況なのです。市と住民の話し合いなくして一方的に病院縮小の方針が公的紙面に出てきたというのが私の印象です。
地域に病院があってこそ
また、「病院をどうしていくか」ばかりが焦点となっていますが「病院がなくなったらどうなるか」の検討が不足しているとも感じています。市報では、「外来診療をしっり継続し在宅医療(往診・訪問看護)を充実させる」とありましたが、そもそもこの言葉には具体性がありません。病気の治療は大まかに言うと「在宅→外来→入院→高度医療」という図式があるように思います。市報で言っている在宅医療の充実とは「ある程度の病状であれば入院機能の一部分までを自宅で行う」、もしくは「入院が必要となれば他の医療機関へ入院させる」のいずれかだと解釈できますが、前者の場合は病床が各家庭へ散らばっている状態ですから病院で言う「回診」労力が増大しますし急変時の対応が出来ません。また、後者の場合はお金のない方や軽症の方であっても、家庭状況や社会的に必要であれば確実に入院させてくれる病院の確保が必要です。もちろん地理的な利便性もありますから、いくら飯能市内の病院であっても現在の市立病院の役割はかえって困難かと思います。
市内の民間病院や埼玉医大からは費用が払えず、あるいは社会的な理由から入院が継続できないために当院へ転院してくる方もおられます。もし、赤字問題と他の入院施設があるというだけで市立病院縮小を唱えるなら、それに代わる対策が必要です。入院費用を市が肩代わりするくらいでないと住民は納得できないと思います。社会的弱者や地域住民からすれば「死ね」と言われたも同然の思いだと思います。
さらに、病院を失えば地域医療の担い手確保も大変困難と思われます。先ほどの図式で言うと、我々医師は後ろに入院できる施設があるから外来が出来るわけで、後ろ盾がない状態でましてや往診は出来ません。
求められる医師の評価と待遇改善
その労力の評価もなく現在の常勤医の待遇状況を考えると少なくとも医師は確保できないと思います。現状では当院には非常勤医師の方が、入院も持たず当直もなく、かつ給料もいいと言った状況のようです。ここ数年で常勤医がバタバタと辞められた理由には待遇問題も大きいと思います。実際、私が今まで勤務してきた病院と比べても当院が一番給料は安いです。常勤医師の確保のためにも待遇改善をお顔いしたいと思います。(省略)・・・こういう病院事情の今だからこそ派遣医師の我々にはその方向性と市長の意向を聞かせて下さい。
*沢辺市長は、このメールに答えていないというのです。
波紋(コラム)
新聞を涜んでいたらあの山崎拓前自民党副総裁が「このごろの議論を聞いていると、大東亜細亜戦争聖戦説という妖怪がさまよっている感じがします。従軍慰安婦問題をめぐる河野官房長官談話の見直しとか、南京大虐殺は実際はなかったとか、ほとんど信じられないことを真顔でおっしゃる方がいる。それに非常に影響を受けた政治家がいる。力の信奉者にとっては受け入れられやすい議論なんですね」と話しています▼私もたまたま居合わせた人から南京大虐殺はなかったと言われて、信じられない思いをしたことがあります。妖怪が身近にも徘徊していたのです。そのときは、失礼ですが、この人の頭はどうなっているんだろうかと真剣に考えてしまいました▼従軍慰安婦問題で「強制の根拠はなかった」と発言した安倍首相の発言が国際的にも波紋を広げています。外国の人たちも信じられない思いでこの発言を聞いたことでしょう。過去の戦争に無反省な自民党政治の異常さが国際的にも日本の品格が問われる深刻な問題題をひきおこしているのです。