新飯能1522号
有害物質の地下水汚染
基準値を大幅に超えるテトラクロロエチレン検出
埼玉県では、平成10年7月にトリクロロエリレンの取り扱い事業所の一斉調査を行ない、椿本チェインの敷地内の井戸からテトラクロロエチレンによる地下水汚染が10月に確認され、同社では平成11年の8月から敷地内の概況調査を実施し、14年から県の承認を受け浄化処理を開始していました。
その後、県は15年から17年の3年間で事業所周辺の地下水汚染のメカニズムの解明をするための調査を行なっていましたが、今回椿本チェインの下流に位置する、浅間地区や新光地区でテトラクロロエチレンの環境基準(1リットルあたり1.01㎎)を超える0.059㎎/Lが検出されました。
同社では洗浄工程で平成12年3月までテトラクロロエチレンを使用していましたが、製品などに付着したテトラクロロエチレンが床面にこぼれ、地中に浸透したと推測していますが、今回の県の広域地下調査の結果から汚染に関与している可能性があるとして工場の南東部に深さ16m幅150mの遮水壁を設置すると共に現在4箇所設置されている揚水井戸を更に八本追加し地下水の処理を行なうとしています。また県の調査では上流に位置する双柳地区からも0.098㎎/Lという高濃度のテトラクロロエチレンが検出され、二つの事業所が自主的に調査を進めています。
飯能市内の地下水調査点は8ヶ所で、毎年検査が行なわれていますが、川寺地内が六ヶ所、椿本チェイン付近は二ヶ所だけです。
平成11年には既に汚染が確認されており、住民の安全のために、調査ポイントを増やすなど監視体制の強化が求められています。
税金の使い方が違うんじゃない!
市庁舎別館より福祉に
市庁舎別館建設に5億9000万円も使うなら、もっと他にあるでしょ!と市民から率直な意見が寄せられています。
医療でも介護でも「予防」が重要視される中で、今年4月から無料だった市民検診(基本健康診査・40歳以上)1300円、婦人検診(18歳~39歳の女性)800円と有料化され、人間ドッグは10000円から13000円に値上げされました。この無料検診の有料化への怒りが、一方で別館建設の問題と対比でさらに大きな怒りへと広がっています。
ある女性は、「検診は、早期発見・予防の柱。こう叫ばれているときに無料検診を有料にするなど言行不一致もいいとこだ。別館建設を知って、節約した分を建設費にでも当てるのかと思ったら、何やってんの!。一番大切にしなければならないのは市民でしょといいたい。」
「新飯能」のある読者は、「第一保育所の庭が川寺上野線の道路建設に引っかかり大幅にけずられ、市長は子どもたちにはガマンしてくれといっていると言うが、自分たちは豪華な別館づくりとはひどい話だ。」
年金暮らしあるお年寄りは、「毎年年金が減らされるので将来への不安がいっぱい。合併記念の借金でやる事業と聞いているけど、借金までしてやらなければならない緊急な事業でもないだろうに。もっと真剣に市民の暮らしを守ってほしい。」など切実な声が多数寄せられています。
*テトラクロロエチレンとは塩素を含む有機化合物で、水よりも重く、また常温で揮発性が高い無色透明の液体です。引火性が低く、容易に油を溶かすという特長があり、ドライクリーニングの溶剤として洗濯業で使われたり、精密機器や部品の加工段階で用いた油の除去などに使われてきました。人体への影響は、肝臓や腎臓障害が認められています。
世界に誇れる憲法
九条の会の講演に3500人
憲法九条を守ろうと「九条の会」の埼玉講演会が九日大宮ソニックシティーで開催され、3500名の参加で、大ホールと小ホールを埋め尽くしました。参加申し込みは一ヶ月前に満杯でしたが、私たちは三人で参加することができました。
「九条の会」が全国津々浦々で4770組織で結成されたことが報告されました。
呼びかけ人で作家の大江健三郎さん、評論家の加藤周一さん、作家の沢地久枝さんの三氏が講演しました。
大江氏は、憲法、教育基本法に共通して書き込まれている「希求」という言葉の意味に触れながら、教育基本法が改定されることになれば「戦後の苦しい状況の中で、まじめなおとなたちの希求は打ち崩され、改憲への道が一挙に開かれる」と警告しました。
特に、沢地さんは、「私たちが世界に誇れるたった一つが憲法です。戦前は人が人間らしい暮らしを取り上げられて死んでいった。憲法はそういうものから解き放った」と切々と語りかけ、感動的でした。
全国からこのように多くの人が、憲法を守ろうと集まったことに、勇気と元気をもらうことができました。この力で、飯能でも「憲法九条を守る」一点での共同を広げていきたいと心から決意をして帰ってきました。(山手町在住 小出恵美子)
国のための教育めざす教育基本法改悪を許すな!
自民党と公明党の与党は、「教育基本法」の改悪を密室で協議してきましたが、4月28日、18条からなる改悪案(現行は11条)を閣議決定し、今国会に提出しました。その中味は、現行の「教育基本法」を大きく改悪し、国の教育介入が公然と行えるものとなり、「愛国心」の強調が盛り込まれているものです。この改悪は、「教育基本法」の精神を180度転換させ、「国民のための教育」から「国のための教育」に質的に変質させ、日本を「戦争をする国」にしようとするものであり、多くの教育関係者から批判の声が上がっています。 さらに、現行の「教育基本法」の前文で「日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するために、この法律を制定する。」と規定されている通り、「教育基本法」は教育の憲法ともいわれているものであります。今回の改悪は、その後の「日本国憲法」の改悪を想定したものであり、その意味からも断じて許せるものではありません。
南高麗・上直竹上分
お散歩マーケットに800人
ゴールデンウイークの5月6日、飯能エコツーリズム「お散歩マーケット」が上直竹上分(黒指、細田)地区で行われました。当日は晴天にも恵まれ、約800人の参加者が山里を訪れ、黒指・細田を結ぶ山道は尾瀬の遊歩道を思わせる大渋滞に見舞われるほどでした。普段は、乗客がいなくて空気を運んでいると揶揄されている間野黒指行きのバスは午前中だけで10便を超える臨時便が運行されるなど、「開びゃく以来の乗客」となったようです。
「お散歩マーケット」は今回で、4回目になるそうですが、タイトルの様に、それぞれの庭先に出されたお店に並べられた山菜や手作りパン、手打ちうどん、たらし焼きなどを買ったり、食べたりしながら、お散歩気分で回る手作りのイベントです。今回は、恒例のマーケットと地区の名所旧跡を巡るガイドツアーのほかに、竹の子堀と山菜取り体験ツアーや、写真展、青空演奏会、スタンプラリーなど色々な企画が用意されており、参加者は花の咲き乱れる山里の景色とともに春の一日を楽しんでいました。
実行委員の榎本孝次さんは、「資料は500部用意したが昼前には品切れになってしまった。スタンプラリーの景品も予定を大幅に超えてしまい、暑い中一生懸命回られた方、全員に景品を渡す事が出来ず本当に申し訳ない気持ちです。手作りのイベントですので色々手違いもあり多くの方にご迷惑をお掛けしたと思いますが、私どもとしては一生懸命お持て成しをしたつもりです。これに懲りず次回もぜひ参加していただくようお願いします」と話していました。
波紋<コラム>
毎日たけのこやふきばかり食べていたのでは力が入らないよと冗談でもいいたくなります。こごみ、ふきのとう、こしあぶらと一度にそろったから食べるのもたいへんです。もうしばらくは山菜はいらないなどいったら山菜好きの人から怒られてしまいそうです▼ところで今の国会で審議されている「共謀罪」の新設法案。頭に浮かぶのは1910年(明治43年)の大逆事件です。この事件は天皇の暗殺を計画したとして、全国数百人の社会主義者・無政府主義者を検挙、幸徳秋水ら12人を死刑、12人を無期懲役、2人を有期刑にした大弾圧事件。1943(昭和18年)には特高警察が日本共産党再建計画をでっちあげ、雑誌編集者など70余名を検挙、拷問で5名を獄死させた横浜事件もひきおこされています▼「共謀罪」が成立すれば酒の席での冗談もひょうたんから駒で大事件にされかねないのです。「内心」を処罰の対象にするようなおそろしい社会を誰が望んでいるというのでしょうか。戦前をほうふつさせるような法案は廃案しかありません。